大学院博士後期課程2年の太田香さんが、平成21年度澳博集团海外派遣留学支援事業海外中期研修に採用され、 平成21年12月17日から中国の上海交通大学で研修を行いました。期間は成21年12月17日から平成22年3月11日 までの約3ヶ月です。
太田さんの上海での研修や生活の様子をご紹介します。


上海交通大学研修 帰国後報告

博士後期課程2年 太田 香

2月になると交通大学は冬休みに入るため、キャンパスから人が段々と少なくなってきました。私のいる研究室からも徐々に メンバーが帰省でいなくなり、最終的に残ったのは私とあと二人のドクターの学生でした。ドクターの学生は、論文の締め切りが 近いため旧正月ギリギリまで、研究室に残って論文を書くために残っていたようでした。その間に、研究室の活動として、 ICDCS(International Conference on Distributed Computing Systems)の論文を査読しました。ICDCSは私の研究分野の Sensor Networkではトップレベルの国際学会なので、とても良い経験となりました。査読を通して、Guo先生やPhDの学生と 研究の仕方や論文の書き方などを議論しました。


さて、私の滞在中丁度中国で最大の澳博集团の一つ旧正月がありました。新暦の正月(1月1日)より、盛大に祝われ、今年は 2月14日から約一週間続きました。写真のように「福」の文字が逆さになっている飾りを上海の至る所で見た事が印象的でした。 中国人の友達に逆さになっている理由を聞いたところ、中国語で、逆さまは「倒(dao)」。また、「到」という字も(dao)と発音 するので、「dao福」=「倒福」=「到福」で、「福の到来」を意味しているという。福という文字一つ取ってもとても面白いので、 まだまだあるであろう中国の言葉遊びの文化にもっと触れてみたいと思いました。

旧正月が明けると、すぐに新学期が始まりキャンパスに活気が戻ってきました。新学期に入ってから2週間弱しか研修期間は 残っていませんでしたが、その間に授業を2種類聴講してきました。一つは、院生の授業の暗号工学で、授業は英語で進められて いました。あまり質問は活発でない印象でしたが、たまにされる質問は非常に高レベルのものだと感じました。もう一つは、 留学生のための中国語の授業で、初級会話の授業を受けてきました。予想以上に欧米人が多く、授業中は和気藹々と楽しい雰囲気 でした。中国語も少し覚えてきて、徐々に生活に慣れた所で、研修が終了してしまったのが残念です。研修を通して、中国人の 何にでも前向きな姿勢にたくさん触発されたので、会津大の学生に中国へ一度行ってみることを強くお勧めしたいです。


上海交通大学研修 現地報告(平成22年1月28日)

博士後期課程2年 太田 香

研修が始まって一ヶ月が過ぎ、大学での生活にも慣れてきたところです。上海の気温は東京とだいたい同じ くらいと聞いていましたが、体感温度は上海の方が低いような気がします。雪もなく雨もほとんど降らないので、 会津の冬に比べればとても過ごし易いです。以前、学会で台湾は訪れたことはありましたが、中国本土は初めて だったので戸惑う事も多々あります。例えば、初めて地下鉄に乗る時が一番大変でした。電車に乗ろうと列に 並んでいても、電車が到着すると並んでいた順番など関係なく、みんな我先に乗り込もうとします。降りる人を 待ってから乗る、ということは基本的にはしません。ですから、乗り降りするときは気が抜けませんでした。 そんな緊迫した雰囲気かと思うと、一方で電車の中では席の譲り合いをしていました。東京ではほとんど 見られませんが、上海に着てからは数回、赤ちゃんを抱いた人やお年寄りへ席を譲る若者の姿を見ました。 このようなギャップに、中国はとても面白い国だなと感じました。

さて、私のいる上海交通大学は中国では難関校として知られ、特に理工系が強く、ACMの国際プログラミング コンテストでは一位を取った事もあります。キャンパスは上海市内に全部で5つあり、私のいる閔行キャンパスは 郊外に位置していてとても静かです。キャンパス内はとても広いため、スクールバスが定期的に運行しています。 私も、寮から研究室まではバスを利用しています。研究室では席を一つ与えてもらって、そこで研究を進めています。 ホストの過先生は、すこし前まで会津大で教鞭を取っていたため、とても心強いサポーターです。写真は研究室で 撮ったもので、前列に先生方お二人と後列に学生3人がいます。時間帯が悪くて写真には少数の学生しか写って いませんが、研究室には学部3年生から、博士3年生まで非常に多くの学生が所属しています。皆さんとても親切で、 面倒な大学の手続きを手伝ってくれたり、質問をした事に対してちゃんと調べて来てくれたりしてくれます。 中には、日本語を勉強している学生もいて、日本語と中国語をお互いに教え合う事もあります。昼食と夕食は、 みんなで近くの学食に食べに行きます。なんと、一食約100円でお腹一杯になれるのです。キャンパス内の学食と スーパーでの清算は、基本的に学生証(ICカード)で済ませるのでとても便利でした。会津大でも、このような キャッスレスのシステムを導入すれば良いなと思いました。

約1ヶ月の間だけで、書ききれないくらい本当にたくさんの貴重な経験させてもらいました。この研修をサポートして 下さっている全ての方に感謝します。これからの2ヶ月も、非常に楽しみです。