人間の評価とコンピュータの最適化技術: 対象システム最適化の応用へ
概要
〇従来の最適化技術
通常のシステム最適化は仕様?ゴールとの数値的誤差を手がかりに最適化を行うため、内部で評価関数(コスト関数)を扱う。対象システムの仕様(設計ゴール)が数値で与えられている場合は、通常の最適化設計が可能である。
〇従来の最適化技術の問題点
しかしシステムによっては数値的ゴールが与えられない場合もある。あるデザインコンセプトに合う絵や音の生成、補聴器のフィッティング、人工現実感の向上などは、ユーザの主観が最適化のための唯一の手がかりである。従来の最適化手法では、このような心理的(非数値的)ゴールを与えられても対処が困難である。
〇提案技術
このような課題には、人間の評価とコンピュータの最適化技術を協調的に組み合わせる枠組みが必要となる。対話型進化計算はこれを実現する1つの技術であり、人間の主観評価に基づいて進化計算が対象システムを最適化する手法である。 しかし、性能が計測できず、人間が性能を判断せざるを得ないようなシステムを設計するような場合も多々ある。本技術の実用化には、人間の主観や専門知識による評価に基づいて、対象システムを最適化する枠組みが必要である。対話型進化計算は、この枠組みの中で、最適化手法に進化計算を用いた手法である。わかりやすくイメージするためには、進化計算のフィットネス関数(評価関数)を人間に置き換えたシステムであると考えればよい。
例えば、補聴器を良く聞こえるようにしたい、リビングに適したグラフィクスを生成したい、ジャズらしい音楽を生成したい、などがその例である。主観評価は、好みのような感性的なものさしに基づく場合もあるし、専門知識に基づく判断の場合もある。
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